投稿者「ono」のアーカイブ

📖 記憶がつくる読書の風景

〜『平家伝説殺人事件』を再読して〜 三十数年前、浅見光彦シリーズに夢中になっていた頃の記憶が、ふと蘇った。今回、電子書籍で『平家伝説殺人事件』を読み返したのだが、ページをめくるたびに、当時の空気や感情が静かに立ち上がって… 続きを読む »

雪の小布施と見られなかった北斎――映画『HOKUSAI』を観て思い出した旅の記憶

3月の小布施は、宮崎育ちの私にとってまるで異国だった。 春の気配が漂うはずの季節に、雪が舞い、吐く息は白く、指先はかじかんだ。 あの日、私は北斎館を訪れた。だが、運悪く改装中。館の扉は閉ざされ、北斎の絵に触れることは叶わ… 続きを読む »

🎧 階上から流れてきたTattoo You──記憶の鍵としてのローリング・ストーンズ

大学時代、僕は長崎市の下宿に住んでいた。坂の上にある鉄筋コンクリートの建物で、2階が入口になっている長崎らしい構造だった。上の階には医学部の学生が住んでいた。彼はいつも何かしらの音楽を流していて、その中でも印象的だったの… 続きを読む »

忘れものがつなぐ記憶──『新・御宿かわせみ2 華族夫人の忘れもの』を読んで

朝のコーヒーを淹れながら、ふと読み終えたばかりの『新・御宿かわせみ2 華族夫人の忘れもの』の余韻が胸に広がる。明治の東京を舞台にしたこのシリーズは、旧幕時代の香りを残しながらも、新しい時代の息吹を感じさせてくれる。とりわ… 続きを読む »

失われた風景と、再構築される記憶──『上野谷中殺人事件』を読みながら

浅見光彦シリーズといえば、旅情と人情が交錯する地方の風景が魅力だ。だが『上野谷中殺人事件』には、旅がない。舞台は東京の下町、谷中。再開発に揺れる地域の葛藤が描かれ、光彦は“旅人”ではなく“都市の観察者”として事件に向き合… 続きを読む »